第37章 あなたの目にはお金しか見えないのですか?

中村司はオフィスに入ってきた。彼の顔には余計な表情がなく、何の感情も読み取れなかった。

「司、鶏肉のスープを作ってきましたよ」林田夕子は慌てて笑顔で近づいた。

「先に出ていってくれ」

林田夕子は信じられないという様子で、佐藤桜の方をちらりと見た。聞き間違えたのだろうか、佐藤桜に出ていけと言ったのだろうか。

中村司は顔を上げて林田夕子を見つめ、その眼差しには不機嫌さが滲んでいた。

「わかったわ。話があるなら先に済ませて。外で待ってるから」林田夕子は目に不満を浮かべながらも、気前よく振る舞った。

佐藤桜は林田夕子がヒールの音を立てながら、不本意そうにオフィスを出て行くのを聞いた。

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