第44章 暇があったら離婚しませんか?

写真には林田夕子の横顔しか写っておらず、もう一人の男性の顔は写っていなかった。

しかし彼女は中村司が昨日着ていたスーツや、ネクタイの色と形を覚えていた。林田夕子の向かいに座っている男性は、ほぼ間違いなく中村司だと確信できた。

なるほど、昨夜中村司は林田夕子とデートしていたのか。

佐藤桜はコーヒーショップでの一幕を思い出し、目の奥に一瞬嘲笑の色が浮かんだ。すぐにそのページを閉じた。

横で田中文文がスマホを持って近づいてきた。画面にはあの背中の写真が表示されている。「佐藤桜、この男の人の後ろ姿、見覚えない?」

佐藤桜は表情を冷ややかに保ったまま答えた。「さあ、わからないわ」

「どうし...

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