第45章 双喜の門出

中村司が急に顔を上げた。「どんな条件だ?」

「私が司のことが好きだということは知っているでしょう。今や皆の目に明らかになっているわ、私の三人の兄も含めて。でも兄は三年前にあなたが別の女と結婚したことをとても気にしていて、だから私とあなたが親しくするのを望んでいないの。私が『好きだから』『そばにいたい』と言い張ったから、兄はようやく渋々、お婆さんを診察することに同意してくれたの」

ここまで言って、林田夕子は勇気を振り絞って彼を見つめた。「でも北兄が一つ条件を出したの、私があなたと結婚すれば、家族のためだけに手術をすると」

中村司の手の中で回していたペンが止まった。その瞳は深く沈んでいた。...

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