第48章 このことだけはダメ

林田北は眉をひそめ、寝室を一瞥してからベランダに出て電話に出た。

「もし中村家のことについてなら、この電話をかける必要もないだろう」と彼は切り出した。

「お兄様!」

林田夕子は焦りきっていた。「私、本当に中村司さんが好きなんです。この人生で彼と結婚したいんです」

「だがあの男には妻がいるだろう。君は浮気相手になりたいのか?」

「前にも言ったじゃないですか。彼はあの女性と離婚するって。そもそも彼があの女性と結婚したのは仕方なくてのことで、彼は全然あの女性のことを好きじゃないんです。それにあの女性は出身が低く、司さんとは門地が釣り合わない。まったく違う世界の人なんです」

林田北は眉間...

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