第31話

「唐杺が自分の隣に遠慮なく座り込む蘇曄を見て、驚かないはずがなかった。彼のような人物が、道端に座るほど気取らない一面を持っているなんて、彼女には想像もつかなかった。

蘇曄の薄い微笑はいつも唇の端に浮かんでいる。彼が自分を見つめているのに気づいて、唐杺はどうしていいか分からず、立ち去るべきか、このまま留まるべきか。突然、忘れていたすべての記憶が洪水のように押し寄せ、頭の中が真っ白になった。

「良い夜景と、ここで君に会えるなんて、素晴らしい偶然だね」

唐杺は思わず噴き出した。蘇曄の笑顔はさらに深まった。笑い声が出るくらいなら、そこまで不安ではないのだろう。

行き場がないことを急に思い出した唐...