チャプター 1
アヴェリン
やめなきゃ。やめなきゃいけないって、わかっていた。
私の下にいる男は、ほとんど意識がなかった。黒い瞳は数秒ごとに閉じそうになり、まるで眠りと戦っているかのようだ。呼吸は深くゆっくりとしていて、アルコールで重い。私のタッチに対する反応は、せいぜい鈍いものだった。高級なウイスキーの匂いがぷんぷんした。
誰かに薬を盛られた――血管を炎が駆け巡り、神経の末端という末端が過敏になっているのを感じる。
でも、やめられなかった。
彼の胸に両手をつき、その上で身を動かす。いつの間にかはだけてしまった薄いホテルのローブ越しに、彼の肌の熱を感じる。薄暗い光の中で、彼は美しかった――鋭い頬骨、完璧な顎のライン。私が夫になると思っていた、病弱な病人とはまるで違う。
『夫』。ふざけた冗談だ。
『あなたは今日からスターリング夫人です』六年前、弁護士は冷たい会議テーブル越しに婚姻証明書を押しやりながら言った。『おめでとうございます』彼は芝居がかった重要さでメモに目を落とし、間を置いた。『ああ、それから、スターリング氏は重篤なご病気で、結婚式の前にお会いすることはできません。死にかけているのです、お分かりでしょう。ほとんど死の床にいるようなものです』
死体との結婚おめでとう、か。家畜のように売られるだけでも屈辱的なのに――棺桶に片足を突っ込んだ男に、会う価値さえないなんて。死にかけの男にさえ拒絶されるなんて、私はどれだけ惨めなんだろう？
私がマンハッタンに戻ってきた理由は一つ。離婚届だ。死んでいようが生きていようが、スターリング夫人でいるのはもう終わり。だがその時、祖母エレノアが爆弾を落としたのだ。
『彼はまだ生きているわ』祖母は弱々しいながらも、決然とした声で言った。『あなたの夫よ。グランドビュー・ホテルの1205号室にいるはず。あなたたち二人が、ようやくあの話をする時が来たのよ』
まだ生きている。六年間も未亡人になるための書類を待ち望んでいたのに、あの男は図々しくも息をし続けていたのだ。
六年も遅すぎたけど、誰が数えてるっていうの？
身を引こうとした。理性的になろうと努めた。今の私はアヴェリン・リーブス博士――児童心理学者だっていうのに。私のキャリアは、非合理的な衝動を理解し、飼いならすことの上に築かれてきた。それに身を委ねるためじゃない。私は無一文から必死で這い上がってきた自立した女だ。体に心を乗っ取らせたりはしない。
でも、薬が勝ち、記憶が洪水のように蘇ってくる。
『ハートウェル家の屋敷は、かつて私の王国だった。クリスタルのシャンデリア、大理石の床、おとぎ話から出てきたようなピンク色のお姫様の寝室。クラスメイトたちが羨望の眼差しで見つめる中、エリート私立学校へはメルセデスが迎えに来た。』
『私たちのアヴェリンは世界で一番賢くて、一番美しい子よ』祖母エレノアはバラ園で私の髪を撫でながら、そう言ったものだった。
『私はその言葉を信じていた。信じないわけがないでしょう？ 私はハートウェル家のお姫様で、誰からも愛され、誰にも触れられない存在だったのだから。』
下の男が身じろぎし、その手が弱々しく私の太腿を掴んだ。半ば意識がなく、薬漬けの状態だというのに、その感触は私に電気を走らせた。私は息を呑み、理性のすべてがやめろと叫んでいるにもかかわらず、彼に腰をすりつけた。
『十八歳の誕生日までは。その日、すべてが粉々に砕け散った。』
『こちらがヴィヴィアン・ハートウェルだ』父は言った。その声に温かみはなかった。『私たちの実の娘だ』
『DNA鑑定の結果が、まるで告発状のようにコーヒーテーブルの上に広げられていた。私は彼らの血を引いていなかった。ただの病院での取り違え。正されなければならない、十八年間の盗まれた人生。』
『本物の娘――地味で臆病なヴィヴィアン――は、どこかの田舎の村で見つかった。彼女は私とは正反対の存在だった。感謝深く、物静かで、残り物に満足する。数日のうちに、彼女は私のベッドで眠るようになり、私は物置を改造した部屋に移された。』
『お前に関しては』父は言葉を重ねるごとに冷酷さを増しながら続けた。『苗字がリーブスだということしかわからん。実の両親が生きているか死んでいるかさえな。もっとも、今となってはどうでもいいことだが』
「くそっ」私は囁いた。体は勝手に動いていた。薬のせいで不器用になった指が、けれど必死の欲求に突き動かされ、彼のジーンズのボタンとジッパーを手探りでいじる。ブリーフから、太く熱い彼のものを引きずり出した。それはすでに先走りで濡れており、私の摩擦に対する彼の体の無意識の反応だった。彼は意識がないままで、呼吸は深く穏やか、まぶたは震えるだけで決して開くことはなかった。
ハートウェル家は、私のアイデンティティが崩壊したのと時を同じくして、あっという間に崩れ落ちた。投資の失敗、破産、資産差し押さえ。そして、祖母の心臓発作。
「手術には二十万ドルかかります。すぐにでも」と医者は言った。
私たちに二十万ドルなんてなかった。二百ドルすら、やっとだった。
そんな時、高そうなスーツを着た男が現れた。私たちのあらゆる問題の解決策として。
「六十万ドル」男は提示した。「花嫁一人に」
あの時、逃げるべきだった。自分を売るくらいなら、祖母を見殺しにすべきだった。でも、私は十八歳で、必死で、そして一年もすれば金持ちの未亡人になれるという彼らの嘘を信じてしまうほどに愚かだった。
薬のせいで、すべてが夢のように感じられた。震える手で、彼の屹立した先端を私の入り口へと導く。彼の体の上に沈み込むと、喉の奥からくぐもった声が漏れた。濡れてきつく締まったそこが、彼のすべてを受け入れようと引き伸ばされる。完璧で、それでいて苦痛に満ちたその充満感こそ、私が求めていたものだった。
結婚式は屈辱の傑作だった。白いドレスも、花も、祝いの言葉もなかった。あったのは、殺風景なホテルの会議室で署名するための書類だけ。弁護士たちがハゲタカのように見守る中で。
「スターリング家へようこそ」弁護士は税務調査官のような温かみでそう言った。
だが、とどめの一撃がやってきた――私の署名のインクが乾くか乾かないかのうちに掛かってきた一本の電話だった。
「少々、計画に変更がありまして」仲介人は悪びれもせずに告げた。「スターリング氏は、あなたの……その、肉体的な同席を必要としません。この結婚は純粋に法的なものです。霊的な守護のため、とお考えください」
霊的な守護。ふざけるな。私は妻なんかじゃない、ただの幸運のお守りじゃないか。
「もうお帰りいただいて結構です」男は無頓着な残酷さで続けた。「あるいは、あなたのような下々の者が行くどこかへでも。スターリング氏にお会いすることはありません――氏はこの手のことを、少々……見下しておられるので」
私は今、彼に体をこすりつけていた。記憶を黙らせるために必要な摩擦と解放を求めて。彼の手が私の腰に回り、あれほど意識が飛んでいるとは思えないほどの力で指が食い込んできた。
叫び出したかった。契約書を破り捨てて、金を返せと要求したかった。
代わりに、私は逃げた。
最後の数百ドルでマンハッタンから出る飛行機のチケットを買い、海外で六年間を過ごした。働きながら大学院を出て、もっと強い自分を築き上げた。金で売買されることのない人間へと。
アヴェリン・リーブス博士。家畜のように取引された、あの壊れた十八歳の少女じゃない。
それなのに、六年も経った今、私はここにいる。私を商品のように買い取った男を、まさに抱こうとしている。会ってやることすらできないほど偉いとされた、その男を。
何かがおかしかった。この男――意識がなく、酔っていて、無防備なこの男は、自分を私の格上だと思っている人間のようには振る舞っていなかった。彼はただ……そこにいるだけ。彼を捕らえたアルコールの靄の中で、迷子になっているだけ。
それなのに、彼のものは信じられないほど硬く、私の体が固く締め付ける確かな存在だった。それは深い満足感の波をもたらした。あまりに完璧で、ほとんど前例がないと感じるほどの感覚。
仲介人の言葉が響く。『スターリング氏にお会いすることはありません』
でも、もしそれが本当なら、じゃあ、こいつは一体誰なんだ？
私は彼を抱いた。頭の中の亡霊を黙らせる解放を追い求め、必死の、狂乱のリズムで彼の熱い体に跨る。彼の手が私の腰を滑り、その指が不器用で無意識な愛撫で腰のカーブをなぞった。彼は何か意味不明なことを呟いていた。言葉は聞き取れないほど不明瞭で、酒と感覚に完全に溺れていた。体を沈めるたびに、私の内側が彼のものを締め付けた。
オーガズムが貨物列車のように私を打ちのめし、快感と混乱が混じり合って、圧倒的な何かになった。彼の胸に崩れ落ちる。言葉にならない呻きだけを唇から漏らしながら、彼が私に続いて絶頂を迎えるのを、体内で脈打つそれで感じた。
ようやく息ができるようになると、私は彼の上から転がり降り、現実と自分を繋ぎとめる何かを探してナイトスタンドに手を伸ばした。
その時、それが見えた。優雅な書体で書かれた、ホテルのウェルカムカード。
「ブラックウェル様、ようこそ」
スターリングじゃない。ブラックウェル。
