第173章

オリオン

アヴェリンが俺のオフィスを出ていった瞬間、俺は必死になって仕事に没頭した。政府入札の締め切りは再来週の金曜日――あと十日後だ。連邦調達チームにすべてを提出する前に、まだ山のような技術仕様書をレビューし、財務予測を最終決定し、プレゼンテーション資料を完璧に仕上げなければならなかった。

だが、コンピューターの画面に目をやるたびに、集中力は粉々に砕け散った。スプレッドシートや技術的な図表の代わりに、頭に浮かぶのは彼女のことばかりだった。俺のデスクに腰掛けたときの彼女の姿、自信に満ちた様子で事業戦略を語る様、そして、なぜかそれ以上の意味を持つように感じられた『同盟』という言葉のさりげない...

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