第1297章

ヒルダは郊外の人里離れた場所にある農家に身を寄せていた。

そこは隔絶された地域で、半径十キロ以内にはほとんど人の気配がなかった。

一方、ネイサンの状況は決して楽観できるものではなかった。彼は黒い灰にまみれて廃墟から出てきたが、その手には何もなかった。リモコンはテディと共に灰と化してしまったのだ。

いや、俺の知るエリザベスなら、そう簡単にテディにリモコンを渡すはずがない。だから、たとえここで見つけられたとしても、役には立たなかったかもしれない。

ネイサンは体の灰を落とす間も惜しんで、急いで家路についた。

しかし、帰宅してもヒルダの姿はなく、彼は狼狽して即座に彼女へ電話をかけた。「ハニー...

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