第1384章

ジャスティンは惨めな気分で部屋の隅に佇んでいたが、不意に自嘲めいた笑いを漏らした。アンの姿を探して振り返ると、彼女はまだルナに近づこうと躍起になっており、なんとか会話の糸口を掴もうとしていた。

まさかその少女が、自分が軽蔑してやまない警備員の娘、ルナ・クレモンであろうとは、彼女は夢にも思っていなかっただろう。

会場に入ったクラウスは、注目の的となっているルナ以外の女性には一瞥さえくれなかった。誰よりも遅れて登場した主役であるルナが姿を現したことで、舞踏会は幕を開けたのだ。

彼女はジリーとファーストダンスを踊った。ジリーは有頂天になるあまり、終始どこか艶めかしい身のこなしで踊り続けた。一曲...

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