第179章

結婚披露宴に向かう車中、ヒルダはレックスが運転する車を興味深そうに眺めていた。

確かに高級車ではあるが……。

ヒルダが何か言おうとしたその瞬間、レックスが先手を打った。「おいおい、なんだその格好は! 結婚披露宴に行くのに、まるでボールみたいに着ぶくれてどうするんだ?」

「好きでこうしてると思ってるの? 外はすごく寒いのよ。私に肌を晒せって言うの?」

後部座席では、ソニアが背筋を伸ばして座り、二人の口喧嘩に耳を傾けていた。

……

その頃、結婚式はすでに始まっていた。ホテル全体がスティーブンソン家によって貸し切られており、入り口には次々と高級車が横付けされていた。名高い招待客たちが優雅な足取り...

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