チャプター 189

一方、その光景を目にしたカルメンの心は沈んだ。ウィリアムがここに来たのは、自分やスティーブンソン家のためではなかったのだ。

(でも、私を見たら帰ろうなんて思わないはずよ。私の息をのむような美しさに心を奪われているに違いないもの。それなのに、あの女! ヒルダ、あの性悪女! よくもウィリアムを誘惑したわね。死にたいらしいわ! それに、レックスって一体何者なの? ウィリアムのそばからダニエルを追い払うなんて、何様のつもり? 今日は私たちの結婚披露宴なのよ。誰もが私たちに注目すべきだわ。もちろん、ウィリアムも含めてね!)

彼女はわざとらしくウィリアムのそばに歩み寄り、こう声をかけた。

「ウィリアム...

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