チャプター 290

入り口の警備員は、極めて経験豊富な手練れだった。何しろ彼らは特殊部隊の元隊員であり、ネイサンから直接指示を受けていたのだから。

「奥様が『失せろ』と仰った以上、敷地内に一歩たりとも入れるわけにはいかない」

ドッという重い足音と共に、狭い詰め所から8人の屈強な警備員が飛び出し、一瞬にして入り口を封鎖した。事態の急変に肝を冷やしたアダムス氏は、思わず後ずさりした。

警備員のリーダーは手にテーザー銃を握ったまま告げた。

「アダムスさん、ここはあなたが乱暴を働いていい場所ではありません。大人しくお引き取り願うのが賢明かと」

アダムス氏は明らかに激怒していたが、数万ドルもの商談を放り出してまでこ...

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