チャプター 309

勉強の最中だというのに、彼はわざと邪魔をしてくる。それも、妙に熱心にだ! まさか本気で勉強の進み具合を尋ねているわけではないだろう。どうもこうもあるものか。彼が体を押し付け、私を翻弄し続けるせいで、一行たりとも読めていないのだから!

ネイサンは舌先でヒルダの肩に円を描き、羽毛のように軽やかな口づけを散りばめた。そこには、「ヘックス」の刻印を覆うための薔薇のタトゥーがある。その薔薇はまるで艶やかに咲き誇り、甘美な芳香を放っているかのようだった。

彼は彼女の耳元で囁いた。「集中できないなら、勉強なんてやめてしまいなよ。それより、僕のほうに集中したらどうだ……」

しばらくして、ヒルダは息も絶え...

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