チャプター 313

五年前、ネイサンは彼らのプロジェクトの一つで講演を行うと約束していたが、それは今まで果たされないままだった。

ようやく講演の日時と場所について合意に至り、学長は上機嫌でその場を後にした。講演の日程が決まっただけでなく、投資まで取り付けたのだから無理もない。実に実りの多い訪問だったと言えるだろう。

ネイサンは学長を見送ってから戻ってきた。すると、リビングのソファにはヒルダがちょこんと座り、神妙な面持ちで彼のお説教を待っていた。その姿があまりに愛らしく、どうして叱ることなどできようか。

彼は優しく彼女の頬をつねると、こう言った。

「よし、今日は叱らないでおこう。さあ、仕事を済ませてきなさい。それ...

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