チャプター 372

その場を離れた後、レックスは消化を助けるための食後の犬の散歩を兼ねて軍の駐屯地の方角へと向かい、ヒルダはそれとは反対方向にあるスーパーマーケットへと向かった。別れ際、レックスは彼女を安心させずにはいられなかった。

「アミュレットのことで思い詰めるなよ。ダミアン家が諦めるよう、俺が説得してみるから。それにネイサンだっているんだ、心配することは何もないさ」

彼女は頷き、彼が去っていくのを見送った。

別れた後も、レックスは駐屯地へ戻る道すがら、地下セラーにあったワインのボトルのことを思い出しては上機嫌になっていた。あの一口だけで半生分の満足感が得られるほど、実に素晴らしい味だった! ネイサンが...

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