チャプター 378

ヘックスのリーダーは一言も発さず、ヒルダの腕を放すと、まるで降伏するかのようにゆっくりと両手を挙げた。

拘束から解き放たれたヒルダは、銃を強く握りしめた。残された最後の力を振り絞り、一歩ずつ後ずさりする。相手がまだ何か仕掛けてくるのではないかという恐怖から、片時もヘックスのリーダーから目を離さなかった。

一方、ヘックスのリーダーは両手を頭の後ろで組み、ヒルダの銃口が向けられているにもかかわらず、恐れる様子もなく背中をさらけ出した。

そして、悠然とした足取りでその場を立ち去っていく。

銃を構えるヒルダの手が微かに震える。一歩一歩後退していた彼女は、突如として温かい胸に抱き留められた。

ネ...

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