第四十五章

ターディ市への帰路、ネイサンとヒルダはペアルックのTシャツに身を包み、一日中遊び尽くしてからホテルに戻ったばかりだった。二人が計画した旅行の全行程は、今まさに終わりを迎えようとしていた。明日にはターディ市へ戻ることになる。今日はターディ市近郊の旧市街で楽しいひと時を過ごした。そこはヒルダが以前からずっと訪れたいと願っていた場所だったが、金銭的にも時間的にも余裕がなく、叶わずにいたのだ。今、彼女はようやくその願いを果たすことができた。

彼女が道端の土産物を片っ端からご機嫌で買い込んでいたその時、ネイサンのもとにクレモン家の長老から電話が入った。

「このクソガキが! 今すぐ戻ってきやがれ、そう...

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