第四十九章

ヒルダはVIPステータスを使って列に割り込む気にはなれず、ヌエラを会計の列に並ばせ、自分は隅の席に座って、選んだウェディングドレスの写真をネイサンに送っていた。

「すごく気に入ったドレスを選んだの。メッセンジャーで写真を送ったわ。今、誰かに支払いをさせているところで、あなたの分も払っておくね。今回は私のおごりだから、気にしないで」

試着のためにメイクや口紅がドレスにつくのを恐れて、ヒルダは今日、すっぴんで家を出ていた。顔にはBBクリームを薄く塗っているだけだ。彼女はネイサンと通話しながらイヤホンをつけていた。

「あら、これがお姉様のヒルダじゃない! どうしてこんなところにいるの? あなた...

ログインして続きを読む