第486章

ここ数日、ヒルダはインペリアルの自宅に籠り、母の遺品の整理に追われていた。

そこにあったのは、赤ん坊の頃に自分が着ていた服や、母の日記などだった。心を落ち着かせるエッセンシャルオイルを垂らしたディフューザーを置き、暖房を入れると、ヒルダは窓辺に座り、母の日記を読み耽った。

黄ばんだ日記のページには、ペンで書かれた文字がびっしりと並んでいる。形が崩れ、歪んでいて、決して上手とは言えない筆跡だったが、そこには母の誠実さと真実が込められていた。

淡い日差しの中でページをめくると、そこにある言葉からは悲しみが滲み出ていたが、同時に希望も感じられた。

それは、まだ見ぬ我が子のために書かれた日記だ...

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