第539章

そもそも、これはヒルダとブリアナの戦いだったはずではないか? なぜ代わりにネイサンがブリアナと言葉を交わしているのだろう。

ブリアナは過去の思い出を呼び起こそうと必死だったが、ネイサンは若くて可愛い妻をさりげなく、しかし絶え間なく褒めちぎることしか考えていなかった。

彼の言葉を借りれば、彼女は笑っている時も、気分屋な一面を見せる時も愛らしく、あくびをする姿でさえ魅力的で、彼女のおならさえ芳しく感じるほど深く愛しているのだという……。

そこでようやく、誰もがヒルダこそが一枚上手(うわて)であることに気づいた。ブリアナとの「女の戦い」の原因はネイサンにあるのだから、彼女は単にネイサンを矢面に...

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