第594章

そこで彼女は、研究所へ向かうことにした。

たとえ「ダミアン家の令嬢」という肩書きを失ったとしても、自分が天才であることに変わりはない。研究所に留まりプロジェクトを任されれば、いずれダミアン家が連れ戻したくなるほどの成功を収められるはずだ。

セーラムはまだ怒っているに違いない。ヌエラを使ってヒルダを殺そうとしたのだから。だが、成果さえ上げれば、遅かれ早かれ令嬢の座を取り戻せるだろう。

研究所に到着すると、テヒラは真っ先に所長のもとへ向かった。

彼女はダミアン家の令嬢としての最後のプライドを振り絞り、こう言った。

「ここで仕事を再開したいの。私専用のマンションを用意してちょうだい。それから専...

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