チャプター 640

「コラード?」

アルバンは意識が朦朧とする中、愛犬の名を呼んだ。コラードがベッドに上がってきたのだと思ったのだ。

ドサッ、ドサッ。部屋の隅で、その声に反応して黒い影が動いた。影はベッドの脇まで来ると、まるで与えられたその名をすでに受け入れているかのように、じっとアルバンを見つめていた。

その黒い影を見て、アルバンの目は驚きに見開かれた。傍らにある温かい物体に手を伸ばすと、バターのように滑らかな肌の感触が伝わり、艶めかしい寝息が聞こえてきた。

女か?

彼の体は強張り、頭の中で何かのスイッチが入ったかのように、即座に怒りが込み上げてきた。

ジョーンズ家がまた俺に女をあてがおうとしている...

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