チャプター 655

「口の中の傷、まだ抜糸もしてないのにキスしたいですって!? 冗談じゃないわ!」

抜歯の手術を受けて以来、ネイサンはずっと欲望を抑え込んでいた。

手術自体は大したことはなかったものの、やはり身体にメスを入れたことには変わりない。術後間もない彼女に愛を求めるのは理不尽というものだろう。そのため、ここ数日彼らはセックスをしていなかった。感染症を恐れて、唇へのキスさえ控えていたのだ。彼女が乗り気でなかったため、彼は軽く愛撫し、体を擦り寄せるだけに留めていた。だがしばらくすると、ついに彼女もその気になり……。

翌朝目覚めた時、ヒルダは肌艶も良く、すこぶる快調だった。そこで彼女は意気揚々と抜糸のため...

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