チャプター 770

レックスときたら、猫一匹さえ怖がるような男だ。そんな人間に、どうして娘を嫁がせることができようか！？

その頃、ターディ市の私立病院にある特別病棟では、ダイアナが部屋中を埋め尽くす花束に囲まれて座っていた。彼女は嬉々として、サハラに自身の最近の「武勇伝」を語って聞かせ、興奮を隠しきれない様子だった。

「これで、マヤもあの店もおしまいね！」

自信満々に勝ち誇るダイアナを見て、サハラは微笑んだ。しかし、その内心では密かに嘲笑っていたのだ。

確かにダイアナは大きな手柄を立てた。だが、この哀れな娘は気づいていない。自分がクレモン家とミッシェル家という二大勢力を同時に敵に回してしまったことに。計画...