第21章 山崎社長は不便

病院を離れた北野美月は、川景マンションに戻るとすぐにパソコンを取り出した。

指先がキーボードの上で素早く踊り、画面には複雑なコードが点滅している。パソコンの光に照らされた彼女の顔は特に凛としており、その眼差しには不屈の決意が宿っていた。

最後のコード入力とともに、山崎グループのウイルス攻撃プログラムは完全に停止され、クライアントシステムは正常に戻った。

ネット上で広がっていた悪評は抑え込まれ、不安定だった山崎グループの株価も徐々に安定してきた。混乱していたすべてが元の軌道に戻りつつあった。

「ふぅ……」彼女は大きく息を吐き、椅子の背もたれに身を預けた。窓の外の川の景色は絵のように美し...

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