第25章 メンテナンス

山崎霧のオフィスのドアが勢いよく開け放たれ、数人の社員たちが慌ただしく飛び込んできた。彼らの顔には不安と焦りが浮かんでいた。

彼らは皆、北野美月とそれなりに親しい間柄だった。最初は単に北野美月から山崎霧への手作り弁当や贈り物を届ける役目を買って出ただけだったが、北野美月は気前がよく、彼らも数々のおすそ分けにあずかっていた。情けは人のためならず、と言うように、いつしか彼らは北野美月の人柄に感動するようになっていた。

彼らはたった今、ライブ配信で北野美月の泣き叫ぶ姿を目にし、自分たちの社長の気まぐれな性格を思い出して、一様に不安になり、一斉にオフィスに駆け込んだのだ。

「山崎社長、何をして...

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