第34章 腹筋があるよ、触る?

山崎霧は玄関に立ち、鷹のように鋭い眼差しで北野美月の顔を見つめていた。その目には疑念が満ちていた。

直感が告げていた。北野美月の家には、別の男がいるのではないかと。その考えは棘のように彼の心に深く刺さり、落ち着かない気持ちを抑えられなかった。

「入れてくれ」彼は低い声で言った。その口調には、拒否を許さない威厳が滲んでいた。

「無理だ!」北野美月は声に力を込めたが、内心は緊張していた。彼が強引に押し入ってくることを恐れていた。

山崎霧が彼女に何かするとは思わなかったが、彼を追い払おうとして力加減を誤り、隠していた実力を晒してしまうことを懸念していた。

「何を恐れているんだ?」山崎霧は...

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