第35章 出前員

「じゃあ、ちょっと触らせてもらおうか?」

白井隆史は気前よく服をめくり上げ、やはり筋肉の線がくっきりとした八つのアブドミナルを露わにした。北野美月の白い指が白井隆史の肌の上を這い、その滑らかな感触に北野美月は手放すことができなかった。

彼女は突然、お金持ちの女性たちがバーに男性モデルを探しに行く楽しさを理解した気がした。

今度は白井莉子も誘って一緒に遊びに行こう。

白井隆史の本意は「近くにいる者が有利」「色仕掛けで出世する」だったのに、まさか逆効果になるとは。北野美月が今何を考えているか知ったら、きっと後悔して自分の頬を何度も叩くだろう。

北野美月と白井隆史の会話は特に声を潜めたわ...

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