第38章 風間

「行こう」山崎霧の声は低く、しかし断固としていた。拒否を許さない威厳が滲み出ている。北野美月は頷き、心の中は風間圭への期待で満ちていた。彼に従って家を出て、山崎グループの方向へと向かった。

会社のビルに到着すると、北野美月の姿は社員たちの注目を集めた。彼女がロビーに足を踏み入れるやいなや、数人の若い社員が興奮した様子で駆け寄り、花束を手に、顔には崇拝の笑みを浮かべていた。

「奥さん、お幸せに!」彼らは声を揃えて言い、目には不思議な輝きが宿っていた。これぞカップル萌えが満たされた喜びだった。昨夜の生配信を見た人々は、揃って叔母さんスマイルで二人のペアを見つめていた。

なんて似合いなんだろ...

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