第42章 礼服

北野美月と風間圭は廊下に立ち、何の遠慮もなく会話を楽しんでいた。社員たちが二人の周りを行き交い、時折視線が二人に留まることもあったが、二人はまるで気づいていないかのように、気ままに話し続けていた。

くつろいだ様子の風間圭と、活発で生き生きとした北野美月。二人が並ぶと、山崎社長と奥さんが並ぶよりもさらに絵になるように見えた。

角の向こうでは、ギフトボックスを抱えて北野美月を探していた秘書が困り果てていた。

彼女は一体どのカップルを推せばいいのだろう?今見ると、奥さんは誰と並んでも様になっていて、山崎社長でさえ奥さんに少し釣り合わないように思えてきた。

秘書は心の中で社長に謝りながらも、...

ログインして続きを読む