第43章 坊ちゃんは久しぶりにこんなに楽しく笑った

夜のチャリティーディナーは、市内の顔が利く人物が皆参加する予定だった。

「今回もやっぱり来ないよね?」白井隆史はいつものように、北野美月に電話をかけて誘い、そして彼女の断りを待った。

「行くわ」

「来なくても大丈夫だよ、どうせ僕はたった一人ぼっちの誰にも必要とされない可哀想な子だし……って、待って……今なんて言った?行くって?!」白井隆史の声のトーンは八オクターブも上がり、信じられないという様子でもう一度繰り返した。

「君はこういう場には全然来なかったじゃないか。何年も誘ってきたけど、一度も来たことないのに!今回はどうして気が変わったの?」白井隆史は少し考え込むように言った。「まさか...

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