第46章 お前は俺を止める勇気があるか?

「小林さん、鈴木さんにお願いして、坊ちゃんに一言言ってもらい、給料を上げてもらったらどう?」北野美月も提案した。

小林裕也の顔は一瞬にして青ざめた。

「冗談でも勘弁してください。私、臆病者なもので」坊ちゃんの鈴木瑠璃に対する態度を見れば分かる。もし鈴木瑠璃が坊ちゃんの前で自分のために一言でも良いことを言おうものなら、坊ちゃんはきっと彼という人間ごと要らなくなるだろう。

そうなれば給料どころか、仕事さえなくなってしまう。

彼ははっきりと覚えている。以前、鈴木瑠璃が偶然坊ちゃんの手に触れたことがあった。坊ちゃんは帰宅するなり手を洗い始め、たっぷり30分も洗い続け、手の皮まで剥けてしまった...

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