第6章 病院

彼女が倒れそうになった瞬間、山崎霧は素早く反応し、手を伸ばして彼女を支え、しっかりと腕の中に抱き留めた。

「どうしたんだ?」山崎霧の声には心配が滲み、蒼白い顔を見下ろす彼の胸が締め付けられた。

北野美月は微かに目を閉じ、額に細かい汗が浮かび、声は弱々しかった。「大丈夫...」

北野美月は山崎霧の前で弱みを見せたくなかった。自分が偽善的で純情ぶった女に見えるのが嫌だった。

気持ち悪すぎる。

「熱があるじゃないか!」山崎霧は彼女の額に軽く手を触れ、その熱さを感じて胸が締め付けられた。「病院に行くぞ」

「構わないで、あなたには関係ないわ」北野美月は力なく腕を上げて山崎霧を押しのけようと...

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