第7章 修羅場

「もういいから、早く行きなさいよ。愛人がお腹の子供と一緒にあなたを待ってるわよ!」

北野美月は苛立ちながら山崎霧を追い払った。彼は彼女の嫌悪感を察したようで、今日の自分の状態がどこか変だと気づいていた。なぜか北野美月に対して優しい気持ちになっているのだ。

そう思うと、山崎霧の頭の中の甘い幻想は跡形もなく消え去った。彼はまるで突然目が覚めたかのように、頷いて言った。「じゃあ、行くよ。一人で...」

「北野先輩、やるじゃないですか!離婚するだけなのに...」

二人の男性が顔を見合わせた。

一人は病室を出ようとしている山崎霧、もう一人は花束を持って病室に入ろうとしていた白井隆史だった。

...

ログインして続きを読む