第68章

たとえ藤堂彰人がいようとも、相沢怜にいい顔などするつもりはない。ましてや今、彼女はレンを連れて橘のお祖母様のところに擦り寄ってきているのだ。明らかに喧嘩を売っている。

相沢怜は慌てたように俯き、弱々しい声で言った。「わ、私たちは……結局、家族なんだから。妹さん、そんなに波風を立てなくてもいいんじゃない?」

素晴らしい。今や波風を立てているのは私のほうだということになった。

私は相沢怜の前に歩み出て、彼女の視線を遮った。「ここにいるのは私たち三人だけよ。誰のためにそんな芝居をしてるの?」

どうやら私は何かを勘違いしていたようだ。

相沢怜がレンを連れてここに来たのは、ただ橘のお祖母様を怒...

ログインして続きを読む