第5章

「今夜の涼介は様子がおかしかったな」家へと向かう車の中で裕也が言った。「君も気をつけた方がいい」

「大丈夫よ、裕也」私はネオンに濡れた新月市の街並みが窓の外を流れていくのを眺めた。「三ヶ月前の私とはもう違うの」

「分かっている、でも……」裕也は言葉をためらった。「涼介みたいな、コントロールを失ったと感じている人間は……無茶なことをしでかしがちだ」

車は私のマンションの前に停まった。裕也は車を降り、私のためにドアを開けてくれる。夜の空気には海からの潮の香りが混じり、私の髪を優しく乱した。

「今夜は心配してくれてありがとう」私は心から言った。

「当然のことさ」裕也の瞳に温か...

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