第4章

小夜子の視点

その日の午後八時、特別病棟。

私は乃亜を強く抱きしめ、ドアの外に集まる人影を見つめていた。心臓が激しく鼓動する。

「絵美里、開けてくれ」貴志の穏やかな声が外から聞こえた。「話があるんだ」

私は深呼吸をして、ドアを開けた。

貴志が戸口に立っており、その後ろには眼鏡をかけた中年男性と屈強な男性職員が二人。さらに悪いことに、廊下には十数人もの病院幹部や看護師、警備員がひしめいていた。

「絵美里、こちらは山田先生、精神科の部長だ」貴志の声は優しいままだった。「君は最近、ストレスが溜まりすぎている。専門的な治療が必要だ」

山田先生は眼鏡の位置を直し、診断書を取...

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