第5章

小夜子の視点

午後九時、地下駐車場。

眠たげな乃亜を腕に抱き、私は自分の車へと急いでいた。薄暗い照明が、コンクリートの壁に不気味な影を落としている。

「ママ……気持ち悪い……」腕の中の乃亜が囁く。その小さな顔は雪のように真っ白だった。

NX-47を断ってから、禁断症状が出始めているのだ。だが、あの殺し屋たちに追いつかれるわけにはいかない!

自分のホンダにたどり着き、ドアのロックを解除しようとした、その時――

ドン!

車の背後から、黒い影が突如として飛び出してきた!

冷たい銃口が、私のこめかみに押し当てられる。

「動くな!」どす黒く低い男の声だった。

私...

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