第6章

美智子さんはドアを閉め、廊下に誰もいないことを確かめてから、ゆっくりとこちらを振り返った。その慈愛に満ちた表情は一瞬で消え失せ、私が今まで見たこともないような冷たいものへと変わっていた。

「絵美里、あなたにはわからないでしょうけど、ネクサスはね、あなたを守るためにこうしているのよ」

「なんですって?」私は勢いよく立ち上がった。「私を守る? 正気なの?」

美智子さんはハンドバッグから分厚い書類を取り出し、その表紙を優しく撫でた。「あなたの医療特許は危険すぎるのよ、いいこと? もし悪用されれば、生物兵器に転用されかねない」

心拍数が跳ね上がる。「そんなはずない! NX-47は命...

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