第7章

小夜子の視点

警察の車列がサイレンを鳴り響かせ、午後の空気を切り裂きながら街路を疾走していた。私は助手席に座り、爪が手のひらに食い込むほど固く拳を握りしめていた。

「空港まであとどれくらい?」私の声は恐怖に震えていた。

捜査官の朝瀬がGPSを一瞥する。「十五分です! ですが、彼らのフライトは一時間後――まだ間に合います!」

無線が最新情報を告げる。「警部! 対象車両が空港敷地内に進入、プライベートジェット用の駐機場へ向かっています!」

胸が締めつけられた。「乃亜はまだ意識不明なのよ! 重病患者を動かすなんて、なんてことを!」

「それこそが連中の狙いですよ」捜査官朝瀬は...

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