第8章

小夜子の視点

三ヶ月後、新東京地方裁判所。

厳粛な法廷は、傍聴席に報道陣が詰めかけ、満席だった。私は証言台の近くに座り、被告人席の貴志と沙羅を見つめていた。心の中は複雑な感情で満たされていた。

乃亜はほとんど回復し、今はベビーシッターと家にいる。今日、私は苦しめられた全ての子供たちのために、正義を求めに来たのだ。

「静粛に!」裁判長が木槌を打ち鳴らした。「これより、新東京地方裁判所は、医療詐欺および児童福祉危害の罪で起訴された、検察対神崎貴志、白石沙羅の公判を開廷する」

貴志の弁護団が即座に立ち上がった。弁護人は、スーツをビシッと着こなした、よく通る声の中年男性だ。「裁判...

ログインして続きを読む