第9章

小夜子の視点

甲高い救急車のサイレンが、新東京市の通りに鳴り響いていた。

揺れるストレッチャーの上で、私の意識は覚醒と暗闇の間を漂っていた。

酸素マスク越しに、あの馴染みのある引っぱられる力が強まっていくのを感じる。見えない手が、この体から私の魂を引き剥がそうとしているかのようだ。

「ママ! ママ、起きてよ!」乃亜が私の手を固く握りしめ、その小さな顔から涙を流していた。「悪い奴らは捕まったんだよ! 裁判官が、あいつらは一生刑務所だって! ママ、お願いだから起きて見てよ!」

最後の力を振り絞り、私は震える手で彼に頬に触れた。彼の肌はとても温かく、とてもリアルだった。

「...

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