第17章

篠原菫子はすぐに理解した。

夏木おばさんが特別に手配したのだ。

夏木おばさんは数日前に彼女に言っていた、必ずサプライズをプレゼントすると。

篠原菫子の心はふと温かくなった。

藤原和也がどんなに彼女を扱おうとも、夏木おばさんはこの世界で篠原菫子にとって唯一の温もりだった。夏木おばさんにはあと二ヶ月の命しかない。夏木おばさんのためだけでも、篠原菫子は藤原和也に協力して、この芝居を最後までやり遂げなければならなかった。

「ありがとうございます、お母さん。このサプライズ、とても嬉しいです。ほら、和也が私のために用意してくれたウェディングドレス、きれいでしょう?」篠原菫子は自分のドレスを少し...

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