第20章

「聞けよ!」男の低く冷たい声が一言一言と告げた「もう一度、勝手に俺の部屋に入れば、殺すぞ」

彼女は道に迷った幼い鹿のように、長くカールした睫毛を慌ただしく瞬かせ、必死に頷いた。

男は身を翻すとベッドサイドテーブルから翡翠色のブレスレットを取り、篠原菫子を抱えて部屋を出ると、彼女の部屋に入って下ろし、再びブレスレットを彼女の腕につけた「明日、これをつけて母を見舞うんだ。そうすれば喜ぶだろう」

「わ...わかりました」彼女の細く弱々しい声が喉に引っかかり、震えながら答えた。

男は踵を返して出て行った。

篠原菫子はやっと急いでドアを閉め、全身をドアに寄りかからせた。両足には支える力が残っ...

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