第16章 前妻は美人

「おや、あの美女の隣に座ってるのは誰だ?いつもこんな歓楽街には来ないはずのKSグループ社長の唐沢佑じゃないか」堀内陽介は反抗的な眉を上げ、からかうような口調で言った。

実際、間違えるのも無理はない。唐沢楓の四人の兄は四つ子で、長男の唐沢佑と次男の唐沢翔は一目見ただけでは全く同じに見える。知らない人なら簡単に混同してしまう。

「まったく、こんな美人が唐沢佑なんかと一緒にいるなんてもったいない。俺と一緒の方が絶対いいのに。まさか二人でベッドに座って手を繋いで祈ってるわけじゃないだろうな」堀内陽介は独り言のようにぶつぶつと言った。

水原悟はその言葉を聞きながら、蜜より甘い唐沢楓の笑顔を見つめ...

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