第19章 唐沢楓と白石さゆり

水原悟はソファーに座り、眉をしかめていた。

「この唐沢楓という名前、どこかで聞いたことがあるような…」

彼は網島新の方を向いて言った。

「調べろ。見てみる」

網島新は頭を掻きながら、困ったように言った。

「社長、私も必死に調べているんですが、この唐沢楓という人物の情報がかなり厳重に管理されていて、ネット上にはほとんど何も出てこないんです。二十年前の写真が一枚見つかっただけで…」

水原悟は目を見開いた。

「早く見せろ」

網島新が写真を差し出しながら説明した。

「これは二十年前、唐沢楓が四、五歳の時の、唐沢夫人の葬儀での写真です」

水原悟は写真を手に取るなり、かんかんに怒り出...

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