第30章 お嬢様の正体が危うい

水原光景は老人の前で辛そうに誓いを立てた。

「お父さん、約束します。これからは金田家の件には一切関わりません」

老人の表情がようやく和らいだ。

この騒動はようやく収まったようだった。

水原光景と水原静香が帰った後、老人は椅子に座り、眉をひそめながら不満げに呟いた。

「うちの水原家の男どもときたら、いつも金田家の女に不幸を招かれおって。なんという話じゃ」

水原悟は傍らに立ちながら、まだ唐沢佑のことを考えていた。

Y国の会議に唐沢佑の代わりに誰か行くのだろうか?

水原光景が年を取って少し認知症になり、人違いをしたのだろうか?

そう考えながら、手近にあった扇子を手に取り、好奇心か...

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