第40章

照明が灯り、宝石箱を照らし出す。中には煌びやかな宝飾品が並んでいた。

水原悟は細めた目でそれをしばらく見つめていた。

唐沢楓は簪を見ても何の反応も示さなかった。

今や彼女にとって恋など儚い泡のよう。触れればすぐに消えてしまうものだった。

むしろ水原悟の眼差しの方が何度も変化していた。

そのとき、金田香奈が唐突に札を上げた。

「18億!」

水原悟は眉間にしわを寄せ、金田香奈の方を振り向いた。

金田香奈はその視線に気づき、頬を赤らめながら彼に親しげに寄り添い、甘えた声で言った。

「悟~私、この簪、結構気に入っちゃった……」

「これを私たちの婚約の贈り物にしない?」

金田香奈...

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