第50章

「断る」

この答えを聞いて、唐沢楓は少し焦り始めた。

「水原悟、あなたも分かっているはずよ。今のあなたの症状はとても深刻で、早急に治療しないと突然死のリスクがあるわ!」

少し間を置いて、唐沢楓は続けた。

「私を行かせるだけなのに、自分の命を賭ける必要なんてないでしょう!」

その言葉を聞いて、水原悟の唇から冗談めいた笑みが消え、一気に真剣な表情になった。彼の顔には冗談の片鱗もなかった。

「おじいさんが同意してないから、僕は君を行かせることができないんだ」

この言葉を聞いた瞬間、唐沢楓は周りの空気が凍りついたように感じた。

水原悟のこの言葉はどういう意味だろう?彼女を手放したくな...

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