第14章

天宮和人は目を上げ、星谷由弥子へと視線を向けた。その瞳の奥は測り知れない深さを湛えていた。

天宮大奥様は喜色満面で、今や星谷由弥子を見る目も幾分か和らいでいた。彼女を脇へ引き寄せながら、「和人、この子が由弥子よ」

「お祖母ちゃんが和人のために迎えた嫁なの。和人がずっと目覚めなかったから、お祖母ちゃんは厄除けのために妻を娶るという方法を信じるしかなくて、星谷家の娘を選んだのよ」

「この子はとても良い子で、彼女が来てくれたおかげで、和人の病気が良くなったのよ」

星谷由弥子は脇の椅子を引き、淡々と背もたれに寄りかかりながら、天宮大奥様の褒め言葉に耳を傾けていた。

さっきまで集中して治療に...

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